①債権回収その1:当事者間の交渉
②債権回収その2:弁護士による内容証明郵便発送
③債権回収その3:支払督促
④債権回収その4:仮差押え
⑤債権回収その5:訴訟

債権回収とは、貸したお金の返還を求めること、売買代金の請求をすること等です。これも、まずが当事者間の交渉でまとまれば、それが一番よいのですが、それでまたまらない場合には、弁護士に内容証明郵便の発送、さらに、それでもダメな場合には、支払督促や訴訟の提起へと発展していきます。支払督促や訴訟となり、相手方が何の反応もしてこなければ、勝訴判決を取るのは容易です。しかし、判決をもらったらお金を支払ってもらえるのかというと、そうとは限りません。何の反応もしてこない相手方は、判決も無視することが多く、何のアクションも起こさない場合が多々あります。こうした事態に備えて、相手方の財産に対して、訴訟前なら仮差押を、訴訟後なら、確定判決に基づいて、差押をしていくことになります。

①債権回収その1:当事者間の交渉

支払う意思はあるが、今はお金がないので3ケ月待ってもらいたい、分割払いで支払うという場合もありますので、まずは当事者間で話し合うことがスタートです。そこで和解が成立したら、和解契約書を作成し双方で押印することになりますが、出来れば、公正証書にしておいた方がよいでしょう。

なぜなら、当事者間の和解契約書だけでは、訴訟を起こし判決をとらないと、相手の預金などに差押えをかけることはできないが、公正証書であれば、すぐに差押えをかけることができるからです。公正証書の作成に弁護士を雇う必要はありませんが、不安であれば弁護士に依頼し文案を作成し、公正証書作成の手配をしてもらうといいでしょう。

②債権回収その2:弁護士による内容証明郵便発送

当事者間の交渉では和解がまとまらない場合は、弁護士に依頼することになります。弁護士は内容証明郵便を作成し、支払いを催告し、その最後に「2週間以内に支払ってこなければ法的措置を取ります。」と書きます。相手によっては、訴訟を起こされることを恐れて、すぐに支払ってくるところもあります。中には、弁護士に依頼し支払い条件の変更等を提案してくるところ、売買した品物に瑕疵があると主張して代金の減額を請求してくるところもあります。この後の交渉は、まさにケースバイケースです。交渉でまとまれば、弁護士間で和解契約を交わすことになりますが、まとまらなければ訴訟に発展します。

③債権回収その3:支払督促

支払いを請求する簡単なものは、簡易裁判所に提起する支払督促です。比較的簡単な手続きで、相手方に申立書が届いてから2週間以内に異議が出されなければ、申立人は仮執行宣言を申し立てることができるようになり、これにも異議が出されないと仮執行宣言が発布されます。申立人はこれに基づいて相手方の財産に対して強制執行をかけることが可能になるというものです。

訴訟と比べて、印紙代が安いこと、また、相手方から異議がなければ迅速に仮執行宣言まで得られることから、広く利用されています。また、簡易裁判所へ申立書を提出しますが、訴訟のように訴額140万円の制限もありません。

④債権回収その4:仮差押え

支払督促ではなく、訴訟という選択肢を取る時には、前もって相手方の財産を仮に差し押さえる仮差押えの申立てを行います。相手方の財産を押さえておかないと、訴訟をやっている間に財産を隠蔽されたり、費消されてしまうからです。

もう一つ考えておかなければならないのは、相手方が交渉や訴訟等をしている間にお金を隠したり、使ってしまったりしないかということです。訴訟で早くても判決を得るまでには、6か月はかかりますから、相手方には財産隠しを行う時間が十分にあるのです。

そこで、仮差押えを行うのですが、どのような手続きとなるのでしょうか。まず、隠密裏に申立書を作り、裁判所に申し立てます。申立人は裁判所に呼び出され、質問を受けたり、書類の追加提出を求められます。これが終わり、申立人が相手方に対して債権を有していることが疎明されると、裁判所は担保と積み立てろと言ってきます。対象が預金債権である場合には、その20~30%程度の担保の積み立てが求められます。担保の積み立てが終わると、裁判所は仮差押え命令を発布します。

どこの銀行預金に仮差押えをかけるかは、申立人の指定です。○○銀行○○支店まで、預金のある支店を指定しなければならず、それが間違っていると仮差押えが空振りに終わることもあります。銀行名支店名は合っていたが、100万円仮差押えをするつもりが、10万円しか残高がなかったという場合もあります。

⑤債権回収その5:訴訟

債権回収を図る最終手段が訴訟です。相手方に対して、「○○円を支払え」とうい判決を得求めて、提起するのです。お金を貸しているが、借りたこと、返していないことについて、相手方が争っていないという場合なら、判決を取ることは比較的容易にできます。相手方があきらめて、訴訟に対応してこなければ、全て認めたと解釈されて、申立人の勝訴判決が第1回期日から1か月以内に出てくるからです。そうではなくて、相手方が真剣に争ってくるということになりますと、訴訟が終結し判決が出るまで、少なくとも1年近くの期間がかかります。

皆様によく理解しておいていただきたい点は、判決を取ることとお金を支払わせることは別物だということです。判決が出ても、平気で支払をしてこない人がいます。慣れっこになっていて、判決をもらってもビクともしないのです。また、そうではなくと、本人は支払いたいと思っているが、お金がなくて払えないという人もいます。判決をもらっただけでは絵にかいた餅で、現金を支払わせるまでは油断できないのです。