交通事故も、予期していない時に起こります。加害者であっても被害者であっても、多くの方は、警察を呼ぶ、保険会社に連絡するというところまでは対応されると思います。その後は、損害賠償をめぐっての技術的な話となってきます。過失割合をどう認定するか、後遺障害が残った場合にいくらの慰謝料がでるのか等です。こうした問題については、過去の交通事故の処理の経験を通じて保険会社や裁判所で蓄積されてきたデータとそれに基づく算定方法がありますので、その処理は保険会社又は弁護士に任された方がよいと思われます。

①交通事故の解決事例1:過失割合の認定
②交通事故の解決事例2:後遺障害の等級認定

①交通事故の解決事例1:過失割合の認定

クライアントの車は高速道路の追い越し車線を通行していたが、前方に渋滞があったため、流れがよかった走行車線に車線変更をしながらブレーキをかけて止まろうとしていたところを、後方のバイク(やはり追い越し車線から走行車線に車線変更をかけてきた)に追突されました。車に傷はバンパーがへこんだ程度で済んだのですが、過失割合をめぐって争いになり、当事務所の弁護士に依頼してきました。

相手方の保険会社は、クライアントの車の非常ブレーキシステムが稼働しており、急ブレーキであったこと、車線変更をして走行車線に入って来ていることを理由として、提示してきた過失割合は4:6というものだったのでした。しかし、クライアントは事故現場で相手方が平謝りし、自分の方が100%悪かったと言っていたので、0:10が正しい割合だと思っていました。

現場検証の結果を見ると、車線変更前は、追い越し車線をクライアントの車が走り、その後ろをバイクが走っていたこと、追い越し車線の方が前方の渋滞の影響が大きかったので、両車ともほぼ同時に走行車線に車線変更してきたこと、その車線変更時に走行車線の前方車両で急ブレーキがかかり、クライアントの車が急ブレーキをかけなければならなくなったこと、それを避けきれなかったバイクが追突してしまったこと等が判明し、最終的には、2:8の過失割合で双方が合意しました。

②交通事故の解決事例2:後遺障害の等級認定

クライアントは自転車で道路を走っていたところ、路上に駐車していた車の扉が突あいたため、それにぶつかり転倒してしまいました。転倒した場所が下り坂で、スピ―ドが出ていたこと、また、転び方が悪かったことから、頭を路面に強く打ち付け脳震盪を起こし、病院に担ぎこまれました。頬と顎の骨を骨折し唇を大きく切り、さらに左足首を骨折したため、手術を受けました。一旦は退院しましたが、顔の傷が治らず、再手術が必要になりました。左足首についても、関節を骨折していたので、長期のリハビリが必要になりました。

クライアントは、事故直後に当事務所の弁護士に交通事故の損害賠償請求について依頼をしてきていました。しかし、交通事故の賠償請求は症状固定といって、最終的に後遺症が固定した状態にならないと進められないので、それを待つことになりました。1年半ほどたって、ようやく症状固定という状態になり、自賠責に等級認定の申請をすると、足首も顔の傷も完治したということになり、等級非該当に認定されました。

しかし、クライアントは女性であるのに、顔と足首に瘢痕と皮膚の変色が残っていたので、その診断書と写真を送り、等級の見直しを申し出たところ、7級の等級認定を受ける(慰謝料は400万円を超える)ことに成功しました。