日本のこれまでの雇用慣行に問題があったこと、それを是正するため労働者の権利を強化するための法律改正が行われたことから、労働問題は、会社にとって難しい問題となっています。残業代請求、ハラスメントの問題、メンタルヘルスの問題はその典型です。一度、こうした問題について労使間で対立が起こると、ユニオンが介入してきたり、労働審判が提起されたりして、会社にとっては、解決がより難しい問題へと発展していきます。
目次
Ⅰ 労働問題その1:残業代請求
残業代請求の時効期間が2年から3年に伸びたことが影響し、その請求額は1.5倍に膨らみました。今後は5年に延びる可能性もあります。多くの会社が残業の削減に本格的に取り組むとともに、残業代の支払いの適正化を進めましたが、そうした対応が進んでいない会社も見受けられます。しかし、残業代の支払いをしないでいると、労働基準監督署、若しくは、労働者の代理人となった弁護士から、ある日電話が入る、通知が届くという事態に立ち至ります。
訴訟を起こされると、会社はタイムカードの提出を求められ、分単位での残業代の支払いを命ぜられます。15分以下切り捨て等の時間管理の慣行は、裁判所では認めてもらえません。訴訟等で争い、労働者との関係をこじらせると、マスコミにリークされる、インターネットで拡散されるリスクもありますから、労働者からの申し入れがあったら、すぐに弁護士に依頼し、会社の計算する残業代相当金額を支払うことで労働者との和解を成立させてしまうのがベストな解決策です。
その後の対策については、残業の削減を進め、残業代の支払いを確実に行うことを労働者に対して誓約し、合意を得ることが大切です。この対策を着実に実行すれば、問題は解決するでしょう。
Ⅱ 労働問題その2:ハラスメント
上司の行き過ぎた指導が、今ではパワハラと認定されます。従業員の能力をこきおろす、人格を否定する発言を繰り返す、従業員のプライべートを無視して過度な残業を強要する。こうしたことのすべてがパワハラに当たります。宴会で、女性社員の体をさわる、女性社員の容姿をけなす、男性社員の性的志向を否定する。これはセクハラです。大企業では人事部が研修等を行い、パワハラやセクハラをしないように管理職の教育をしてきましたが、中小企業では、そこまで手がまわらず、未だにパワハラが常態化している会社も存在します。
こうしたハラスメントは、不法行為となり、対象とされた従業員から損害賠償請求訴訟を起こされます。慰謝料を請求されることになるのですが、その金額は高くても数百万円で収まります。これも従業員との紛争となったら、弁護士に依頼し、早い時期に和解をしてしまうのがベストな解決策です。
Ⅲ 労働問題その3:メンタルヘルス
セクハラ、パワハラが従業員のメンタルヘルスに影響を及ぼさなければいいのですが、従業員が適応障害等の精神疾患に罹患してしまうと、その解決に多大な時間を要することになります。
当事務所で担当してケースでは、上司も周囲の人も悪意がなかったのに、不用意な一言が従業員を傷つけてしまい、適応障害を罹患し、出社できなくなってしまったケースがありました。その方は一旦復帰したのですが、やはり以前言われた一言が気になり、周囲の目も気になって、また休職となってしまいました。その会社では休職はマックス2年間と定められ、それでも復帰できない場合には自然退職すると定められていたので、退職に追い込まれました。
メンタルヘルス問題は、パワハラの結果として発生することもあります。ある会社では、問題社員を解雇したのですが、その時上司によるハラスメント行為がありました。1時間程上司が問い詰めたという事案でしたが、従業員は適応障害になったと主張してきたのです。録音があり、確かに上司の行き過ぎた言葉もあったので、会社は「1時間怒鳴っただけで、そんなはずはない」と思ったのですが、医師の診断書が出てきた以上、それを覆すのは困難です。従業員は、まずは有給休暇を消化し、その後は休職となりました。会社としては、休職期間中も手当を支払い続けましたが、数か月後本人も復帰できないと判断し、会社との協議に応じ、かなりの和解金をもらって退職していきました。会社には、人員の喪失と大きな経済的負担が生じました。
メンタルヘルス問題は難しい問題です。会社としては、できるだけ従業員がメンタルヘルスに陥らないように細心の注意を支払う必要がありますが、それでも防げなかった場合には、労使双方にとってメリットのある解決案をみつけ、早めの事態収拾を図ることが必要です。
Ⅳ 労働問題その4:問題社員の解雇
会社の従業員の中には、いつもトラブルを起こす問題社員もいます。仕事でミスを連発する、取引先を愚弄し怒らせてしまう、他の従業員とうまくやっていけない等々、色んな問題が発生します。上司からウォーニングを発し、それを記録に残し、改善が見られない場合には、解雇せざるを得なくなるのですが、その場合には、解雇が社会的に相当であることを基礎づける証拠を固めておかなければなりません。
ところが、多くの会社では一定のプロセスは踏むのですが、注意は口頭で、年次の人事評価は、従業員とトラブルを招かないように当たり障りのない評価に終始している場合が多く、後から、人事評価資料を見直してみると、解雇を基礎づける資料が何もないという場合が多いのです。
弁護士に相談し、後日法律的に問題とならないように、しかるべきプロセスを踏み、それを証拠化しておくことが大切です。
Ⅴ 労働問題その5:ユニオン対策
中小企業では、企業内労働組合はほとんどありません。そのため、従業員が頼るのは地域に設立されたユニオンです。色々な会社に勤める従業員や退職させられた従業員が加盟しています。ユニオンにも色々あると思いますが、労働運動をしてきた人がビジネスとしてユニオンを組成するケースが多いようです。彼らの収入源が何なのかはよくわかりませんが、はユニオンに加盟してくれる従業員をたくさんリクルートできるように、残業代請求、セクハラによる損賠賠償等で高い金額を勝ち取ろうと頑張ります。労働運動の経験を有している人が戦闘的にやっているのですから、交渉相手としてはかなり手ごわいことは事実です。すぐに不当労働行為であるとか、権利の濫用だとか言って経営を厳しく非難してくるので、中々会社だけでは対応できません。経験を有する弁護士に依頼するのが、交渉をうまく取りまとめるためには必須でしょう。
Ⅵ 労働問題その6:労働審判の実際
残業代請求、ハラスメント、問題社員の解雇でのトラブルが発生すると、最初は労働基準監督署から電話がかかってくるか、弁護士名での内容証明郵便が届くことになりますが、そこで和解できないと、労働審判が提起されます。
労働審判では、労働審判委員会が構成されます。その委員は裁判官と使用者側委員、労働者側委員の3名です。原則3回の期日で終了することになっており、お互いが歩み寄り調停が成立しない限りは、労働委員会による審判が出ます。そもそも労働法が労働者側に有利に作られていることもあり、会社側は弱い立場に追い込まれる上、労働審判委員会の態度も労働者よりですから、審判になると労働者側に有利な結論が出ます。会社側としては、労働者側の立場に歩みより、早い時点で和解を成立させるのが得策です。特に、解雇無効の審判が起こされ、労働審判委員会の心証が無効に傾いている時には、時間を長引かすと、バックペイと言って、和解が成立するまでの給与を支払わされることになりますので要注意です。
不当解雇・残業・ハラスメントなどの労働問題は青山東京法律事務所へご相談ください。
青山東京法律事務所では、不当解雇・未払い残業・ハラスメント・労働審判・ユニオン対応など、企業が直面するあらゆる労働問題に対応しています。
経営・人事・法務の観点を踏まえた実務的かつ戦略的な解決を重視し、トラブルの早期収束だけでなく、再発防止のための社内体制整備や就業規則の見直しまでサポートいたします。
また、外部環境の変化に伴う法改正や働き方改革への対応など、経営課題と一体となった労務リスク管理も支援。
青山東京法律事務所について
青山東京法律事務所には、金融・コンサルティング・企業法務・外資系企業など、多様なビジネス経験を持つ弁護士が在籍しています。
代表の植田弁護士は、金融機関や経営コンサルティング会社での経験を活かし、労務トラブルや労働審判など、企業の経営リスクに直結する問題に対し、実務的かつ戦略的な解決策を提供しています。
企業の経営方針や組織体制を踏まえた上で、法的リスクを最小限に抑える最適な対応を共に検討することを重視しています。
日常的な労務管理の相談から、紛争対応、再発防止策の構築まで、企業の持続的な成長を支えるリーガルパートナーを目指しています。
青山東京法律事務所 代表「植田 統」の紹介
植田 統 弁護士(第一東京弁護士会)
東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士
東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。
野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。
米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。
2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。
現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。
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「このまま依頼すべきか迷っている」という段階でもお気軽にご相談いただけます。
よくあるご質問
Q. 労働審判を申し立てられた場合、どのように対応すればよいですか?
A. 労働審判は短期間で結論が出るため、早期に弁護士へ相談し、主張・証拠を整理することが重要です。
青山東京法律事務所では、企業の立場を踏まえた戦略的な対応方針を立案し、迅速な解決をサポートします。
Q. 問題社員を解雇したい場合、どのような手順が必要ですか?
A. 解雇は手続きや理由の不備があると無効とされるリスクがあります。
事前に指導・注意・記録などの対応履歴を整理し、法的に適切な手順を踏むことが重要です。
青山東京法律事務所では、紛争化を防ぐための具体的な対応策をご提案します。
Q. 残業代の未払いを請求された場合、会社はどう対応すべきですか?
A. まずは請求内容の妥当性を確認し、勤怠記録や雇用契約書などの客観的資料を精査する必要があります。
青山東京法律事務所では、証拠整理から交渉・労働審判対応まで、法的リスクを最小限に抑える支援を行っています。
Q. パワハラ・セクハラの社内調査はどのように進めればよいですか?
A. 事実関係の確認には、被害者・加害者双方からの聞き取りや証拠の保全など、公平・中立な対応が求められます。
青山東京法律事務所では、外部弁護士として社内調査の設計・実施・再発防止策の構築まで支援いたします。
Q. 労務トラブルを防ぐために、事前にできる対策はありますか?
A. 就業規則の見直しや労務管理体制の整備、管理職への研修などが効果的です。
当事務所では、企業の業種や組織体制に応じた予防法務を提案し、トラブルを未然に防ぐ仕組みづくりをサポートしています。
Q. 初回相談ではどのような内容を話せばよいですか?
A.現在の状況や問題の経緯、社内での対応状況などをお聞かせください。
資料がそろっていない場合でも構いません。
弁護士が事実関係を整理し、今後の対応方針とリスクを明確にご説明いたします。
Q. 顧問契約を結ぶと、どのようなサポートを受けられますか?
A. 日常的な労務相談から、契約書・就業規則のチェック、トラブル発生時の初期対応まで、幅広くサポートいたします。
経営・法務両面の視点から、継続的に労務リスクを管理し、トラブルの予防と迅速な解決を実現します。
Q. 弁護士費用はどのように決まりますか?
A. 案件の内容や複雑さ、対応範囲に応じてお見積もりを提示いたします。
顧問契約では、月額制で安定したコスト管理が可能です。
初回相談時に費用の目安やプランを丁寧にご説明いたしますのでご安心ください。
解決事例
労働問題では、従業員とのトラブルやユニオン対応、問題社員への処分など、企業だけでは判断が難しい場面が多くあります。ここでは、青山東京法律事務所が実際に対応した事例をもとに、どのように問題を解決へ導いたのかをご紹介します。
事例① ユニオンによる復職要求への対応と、懲戒解雇者との円満な退職合意
社内抗争で懲戒解雇となった従業員がユニオンに加入し、集団で復職を求めてきたケースです。
ご相談内容
金属加工業の会社で社内の派閥争いが悪化し、社長派の従業員約20名が暴動を起こして書類や印鑑を持ち出す事態となりました。
新社長は20名を懲戒解雇しましたが、彼らがユニオンに加入して復職を求めてきたため、対応のご相談をいただきました。
弁護士が行った対応と結果
弁護士は、暴動の事実とその証拠を基にユニオンへ状況を説明し、復職が現実的でない理由を丁寧に伝えました。
そのうえで、懲戒解雇を会社都合退職へ切り替えるなど条件調整を行い、最終的には約6か月分の退職金を上乗せする内容で和解が成立しました。
解決のポイント
事実関係と証拠を踏まえた説明により、復職要求から退職条件交渉へ議論を移すことができました。
会社側・従業員側双方が現実的な解決を選択しやすい環境を整えたことが、円満な合意につながりました。
事例② 検査偽装を行った従業員への処分判断と再発時の懲戒解雇対応
品質検査における組織的な偽装が発覚し、従業員への処分の進め方についてご相談を受けた事例です。
ご相談内容
製造グループ4名が、品質検査において不正な測定方法で合格とする偽装を繰り返していたことが発覚しました。
社長は取引先へ謝罪したうえで、従業員への処分方法について弁護士へ相談されました。
弁護士が行った対応と結果
弁護士は、懲戒処分には確実な証拠が必要であることを説明し、従業員へのヒアリングによる事実確認を提案しました。
その結果、関与した従業員の認識や反省の度合いが整理され、初回は減給処分に留まったものの、その後再発した従業員については懲戒解雇処分を適切に実施することができました。
解決のポイント
段階的な事実確認と書面による記録により、初回の処分および再発時の懲戒解雇が適法に行える体制を整えることができました。
法的リスクを避けつつ、職場の秩序維持に必要な判断を段階的に導いた点が重要でした。
事例③ 事業縮小に伴う多数解雇とユニオン交渉を円満解決へ導いた事例
外資系企業の事業縮小により大量解雇が発生し、ユニオンとの調整が必要となったケースです。
ご相談内容
外資系企業の日本法人が大幅な事業縮小を決定し、多くの従業員が解雇対象となったことからユニオンが介入し、会社は退職条件の調整を余儀なくされました。
外国本社への説明も必要で、適切な手続と交渉方針についてご相談がありました。
弁護士が行った対応と結果
弁護士は、日本の労働法上、簡単な解雇はできないことや、一定人数を残す場合には整理解雇の適用が難しくなることを外国本社へ説明し、理解を得ました。
そのうえでユニオンとの交渉を進め、約7〜8か月の協議の末、退職金の支払いによる合意形成に成功し、事業縮小を円滑に完了することができました。
解決のポイント
日本の労働法の枠組みを正確に説明し、外国本社の理解を得たうえで交渉方針を統一したことが大きな要因です。
長期にわたるユニオンとの交渉に粘り強く対応し、企業の事業判断と従業員の納得を両立する解決策へまとめることができました。
当事務所へのアクセス
青山東京法律事務所は、東京メトロ銀座線・半蔵門線、そして都営大江戸線が乗り入れる「青山一丁目駅」から徒歩2分と、都内の各方面からアクセスしやすい立地にあります。
駅を出て青山通り(国道246号)を東方向に進み、最初の角を右折します。赤坂郵便局が見えてきたら、その手前で再び右折し、すぐに左へ曲がると、当事務所が入る建物に到着します。