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監修者:植田 統 弁護士(第一東京弁護士会)
青山東京法律事務所 代表
東大法学部卒、ダートマス大学MBA。東京銀行、ブーズ・アレン、アリックスパートナーズ等で経営戦略や企業再生の要職を歴任。現在は青山東京法律事務所代表として、約40社の顧問弁護士を務める。豊富なビジネス経験を武器に、高度な企業法務や事業承継を完遂する実務派弁護士。

企業が弁護士にサポートを依頼する方法には、主に「顧問弁護士」と契約するパターンと、「単発契約の弁護士」を利用するパターンがあります。しかし、顧問弁護士と単発契約の弁護士では、費用が発生する仕組みや相談のしやすさなどに違いがあるため、どちらを選ぶべきか迷う企業様も少なくないでしょう。

そこで本記事では、顧問弁護士と単発契約の弁護士の違いや、それぞれが適しているケース、また顧問弁護士と契約するメリットなどを解説します。

顧問弁護士と単発契約の弁護士の違い

顧問弁護士と単発契約の弁護士の大きな違いは、企業との関わり方にあります。

顧問弁護士は、継続的な契約のもとで企業の法務をサポートします。法律に関する疑問や悩みが生じた際に、気軽に相談できる点が特徴です。

一方、単発契約の弁護士は、企業がトラブルや問題を抱えた際に、その都度契約を結んで法的なサポートを行います。

このほかにも、顧問弁護士と単発契約の弁護士には以下の点に違いがあります。

【顧問弁護士と単発契約の弁護士の違い】

  • 費用が発生する仕組み
  • 相談する際の手間
  • 企業への理解度
  • 対応範囲

費用が発生する仕組み

顧問弁護士と単発契約の弁護士では、費用が発生する仕組みが異なります。

顧問弁護士の場合、相談の頻度にかかわらず、契約期間中は毎月一定額の顧問料を支払う必要があります。一方、単発契約の弁護士の場合は、相談するごとに都度料金がかかります。

相談する際の手間

相談時にかかる手間も、顧問弁護士と単発契約の弁護士で異なる点の一つに挙げられます。

顧問弁護士は、日頃から企業の法務をサポートしています。そのため、企業は必要なタイミングですぐに相談することが可能です。契約内容によっては電話やメールで相談できる場合もあり、面談の日程調整にかかる手間を軽減できます。

対して、単発契約の弁護士に相談する場合は、その都度問い合わせや予約を行わなければならないため、サポートを受けられるまでに時間を要するケースも少なくありません。

企業への理解度

顧問弁護士と単発契約の弁護士では、企業への理解度にも違いがあります。

顧問弁護士は、継続的に企業の法務に関わっていることから、事業内容や社内事情などをある程度把握しています。そのため、企業は自社の状況に即した対応をすぐに受けることが可能です。背景や経緯を一から説明する必要が少なく、スムーズに具体的な相談へと進められます。

一方で単発契約の弁護士は、案件ごとに相談を受けるため、依頼時点では社内事情や過去の経緯を把握していません。相談の際には状況説明や資料の共有など、相談内容を理解してもらうための準備が必要となります。

対応範囲

トラブルの予防という観点では、顧問弁護士と単発契約の弁護士で対応できる範囲にも違いがあります。

たとえば、顧問弁護士には現在抱えている問題だけでなく、将来的なトラブルを防ぐ方法についても相談できます。顧問契約のなかに、今後の企業運営に関する相談や法的リスクの

洗い出しといった「予防法務」が含まれているためです。

一方、単発契約の弁護士に相談する場合は、特定の問題の解決に向けた対応が中心となるため、将来的なトラブルを防ぐアドバイスまでは受けられないことがあります。

顧問弁護士と単発契約の弁護士はどちらを選ぶべき?

ここまでの内容を踏まえて、以下では、顧問弁護士が適しているケースと単発契約の弁護士が適しているケースをそれぞれ紹介します。

顧問弁護士が適しているケース

顧問弁護士との契約が適しているケースは、以下の通りです。

【顧問弁護士が適しているケース】

  • 必要なタイミングで気軽に法律相談できる環境を求めている
  • トラブル対応に加えて、将来的なリスクへの対策も相談したい
  • 顧問弁護士がいることを外部に示し、企業としての信頼性を高めたい
  • 法務部を新たに設置するよりも効率的に法務体制を整えたい

上記のような状況にある企業は、顧問弁護士との契約を検討するとよいでしょう。日常的な相談からトラブルの予防まで、幅広い場面で弁護士の助言を受けられます。

単発契約の弁護士が適しているケース

継続的な法務サポートではなく、発生した問題ごとに対応を受けたい企業には、単発契約の弁護士が適しています。具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

【単発契約の弁護士が適しているケース】

  • 法律相談の頻度が低く、継続的な法務サポートを必要としていない
  • 顧問弁護士との契約に伴う継続的な費用負担を抑えたい
  • 社内に法務部門が整備されており、自社で法務対応できる体制がある

上記に当てはまる企業は、単発契約を結ぶことで、法律相談にかかるコストを抑えながら必要なサポートを受けられるでしょう。継続的な契約を前提としないため、必要なタイミングで利用できます。

顧問弁護士に依頼できること

ここまで説明した通り、「自社が抱える法的な問題について継続的にサポートを受けたい」という企業には、顧問弁護士の活用が有効な選択肢となります。とはいえ、顧問弁護士が実際にどのような業務に対応しているのか、イメージしにくい部分もあるでしょう。

そこで本項では、顧問弁護士に依頼できる具体的な業務内容を解説します。

【顧問弁護士に依頼できること】

  • 労務問題への対応や就業規則の整備
  • 契約書のリーガルチェック
  • コンプライアンス研修
  • 債権回収や知的財産管理に関する相談

労務問題への対応や就業規則の整備

顧問弁護士には、労務問題が発生した際の対応や、就業規則の整備を継続的に依頼できます。

具体的には、万が一、従業員の解雇や懲戒処分が必要となった場合やハラスメントをはじめとする労務問題が発生した際に、法的な観点から対処方法のアドバイスを受けられます。

また、就業規則や各種社内ルールの作成・変更を依頼し、適切な労務管理体制を整備することも可能です。

契約書のリーガルチェック

契約書の内容に、法的なリスクや不明確な条項がないかを確認するリーガルチェックも、顧問弁護士に依頼できる業務の一つに挙げられます。

企業活動では、取引先と契約を締結する前に、契約内容を十分に確認することが重要です。内容を確認しないまま締結すると、自社に不利な条件で契約してしまったり、のちにトラブルに発展したりする可能性があるためです。

顧問弁護士にリーガルチェックを依頼すれば、契約書に潜む法的なリスクを事前に把握できるため、必要に応じて契約内容を見直せます。

コンプライアンス研修

顧問弁護士には、コンプライアンス研修の講師を依頼することも可能です。

法令や社内ルールへの理解が不十分な企業では、従業員が意図せず法令に違反したり、不適切な行動を取ったりする可能性があります。

顧問弁護士によるコンプライアンス研修を実施することで、こうした事態を防ぎながら、従業員の意識向上やリスク管理体制の強化を図れます。

債権回収や知的財産管理に関する相談

債権回収や知的財産に関する問題が発生した場合も、顧問弁護士に相談できます。

たとえば、売掛金や未払い代金などの債権回収では、取引先への請求や交渉、法的手続きなど、状況に応じた対応を依頼することが可能です。

また、商標や著作権などの知的財産については、権利取得に関する手続きや第三者による権利侵害への対応、ライセンス契約の確認といった専門的なサポートを受けられます。

顧問弁護士と契約するメリット

ここからは、顧問弁護士と契約することで得られるメリットを見ていきましょう。

【顧問弁護士と契約するメリット】

  • メリット①いつでも気軽に相談できる
  • メリット②有利な交渉や解決が期待できる
  • メリット③法改正への迅速な対応につながる
  • メリット④法律相談にかかる費用を軽減できる可能性がある

メリット①いつでも気軽に相談できる

顧問弁護士には、対面はもちろん、電話やメールなどでも日常的に相談できます。

単発契約の弁護士に依頼する場合は、相談のたびに予約を取ったり、費用を確認したりしなければなりません。その点顧問弁護士であれば、こうした手間をかけることなく、些細な疑問も気軽に確認できるため、問題が大きくなる前に適切に対処することが可能です。

メリット②有利な交渉や解決が期待できる

契約交渉やトラブル対応の場面では、法的な知識や経験を持つ顧問弁護士から専門的な助言を受けられます。法律上の根拠を踏まえて主張や対応方針を検討することで、自社にとって有利な条件での合意や、適切な解決につなげられるでしょう。

また、取引先との関係性にも配慮しながら、円滑な解決に向けた交渉を進められます。

メリット③法改正への迅速な対応につながる

顧問弁護士と契約することで、自社が対象となる法改正があった場合に、迅速に対応できるようになります。

法令は社会情勢や制度の変化に応じて改正されるため、企業には常に最新の情報を把握し、適切に対応することが求められます。顧問弁護士がいれば、法改正の内容や対応すべき点について速やかに助言を受けられるため、社内体制の変更や必要な手続きをスムーズに進められるでしょう。

メリット④法律相談にかかる費用を軽減できる可能性がある

顧問弁護士との契約では、毎月一定の顧問料を支払うことで、継続的に法務サポートを受けられます。そのため、法律相談の機会が多い企業では、案件ごとに依頼する場合と比べて、費用負担を抑えられる可能性があります。

顧問弁護士を選ぶ際に確認したいポイント

顧問弁護士は、企業の法務を長期的に支える重要なパートナーです。契約後に適切なサポートを受けるためにも、選定時には以下のポイントを確認しておく必要があります。

【顧問弁護士を選ぶ際に確認したいポイント】

  • ポイント①専門分野
  • ポイント②事務所の規模
  • ポイント③実績

ポイント①専門分野

顧問弁護士を選ぶ際は、まず自社の業種や問題に対応できる専門性を持っているかどうかを確認することが大切です。

企業が直面する法的な問題は、業種や事業内容によって異なります。たとえば、IT関連企業には知的財産や個人情報保護に精通した弁護士、建設業には建設業法に関する知識や、工事請負契約の実務経験を持つ弁護士が適しています。

自社の業界や事業内容への理解が深い弁護士を選ぶことで、より実情に合ったアドバイスを受けられるでしょう。

ポイント②事務所の規模

法律事務所の規模も、顧問弁護士を選ぶ際に確認しておきたいポイントの一つです。

大規模な法律事務所では、複数の弁護士が所属しているため、幅広い分野の相談に対応できる可能性があります。一方で、小規模な事務所では担当弁護士との距離が近く、状況に応じた柔軟な対応が期待できます。

それぞれの特徴を理解したうえで、自社に合った事務所を選びましょう。

ポイント③実績

顧問弁護士を選ぶ際には、これまでの対応実績を確認しておくことも大切です。

「過去にどの業種・規模の企業と顧問契約を結んできたのか」を確認することで、自社に適したサポートを受けられるかどうかを判断しやすくなります。特に同じ業界の企業への対応実績が豊富な弁護士であれば、業界特有のリスクや課題を踏まえたアドバイスを受けられるでしょう。

顧問弁護士と弁護士の違いは、企業との関わり方にある

顧問弁護士と単発契約の弁護士は、企業との関わり方や費用が発生する仕組み、相談のしやすさなどに違いがあります。継続的な法務サポートを求める企業には顧問弁護士、特定の問題が発生した際に依頼したい企業には、単発契約の弁護士が適しています。

事業内容や法務体制、相談頻度などを踏まえ、自社に合った依頼方法を選びましょう。

青山東京法律事務所では、40社を超える企業に対して、顧問弁護士サービスを提供しています。各企業の経営戦略や事業内容を踏まえた法務サポートを提供しておりますので、顧問弁護士をお探しの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者

植田統

植田 統   弁護士(第一東京弁護士会)

東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士

東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。 野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。 米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。

2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。

現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。

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