公開日:  更新日:

ベンチャー企業が成長を続けるには、スピード感ある事業展開だけでなく、足元を固める法的な安全性も不可欠です。
契約書作成や労務管理、資金調達といった法務領域は、創業期には後回しにされがちですが、初期段階での判断ミスが将来的なトラブルや成長の足かせになることも少なくありません。
そこで本記事では、顧問弁護士が果たす役割や具体的な支援内容、自社に合った弁護士の選び方、費用などを体系的に整理します。

ベンチャー企業が顧問弁護士を持つ重要性

ベンチャー企業にとって顧問弁護士は、法的トラブルを未然に防ぐ「予防法務」と、万が一の際の「迅速な対応」を支える重要な存在です。
創業期は契約や知財管理が後回しになりがちですが、これらは企業の存続に関わる重大なリスクとなり得ます
外部の専門家と連携することは、意思決定に法的な裏付けを与え、安心して事業を加速させるための基盤となります。
ここでは、ベンチャー企業が顧問弁護士を持つべき具体的な理由を、リスク管理やリソース面など4つの観点から解説します。

法的リスクを軽減する方法

法的リスクを軽減するには、トラブル発生前からの相談体制が不可欠です。
ベンチャーは事業推進を優先しがちですが、契約書や利用規約、プライバシーポリシーの不備は、後々大きな紛争の火種になります。
締結前に弁護士のチェックを受けるフローを作れば、不利な条件や違法な条項を事前に修正でき、リスクを大幅に低減可能です。
レビュー体制の確立は、法務判断の属人化を防ぎ、組織としての安定性を高める効果もあります。

リソース不足を補うための対策

顧問弁護士の活用は、法務担当者を置けないベンチャーにとって現実的なリソース対策です。
専任者を雇用する固定費をかけずに、必要な時だけ専門家の知見を借りられます。
契約書のレビューや法的なリサーチをアウトソースすれば、経営者や営業担当者は本業に集中でき、法務確認待ちによるビジネスの停滞も防げます。
定型的な契約書のひな形作成を依頼することで、業務効率を向上させられる点も大きなメリットです。

専門家の知識を活用するメリット

顧問弁護士を活用すれば、経営判断の精度を高め、手戻りによるコストを削減できます。
会社法や労働法、資金調達の規制は複雑で、自己判断でのミスは許されません。
例えば、新株発行やストックオプションの手続きに不備があれば、後から無効を主張されるリスクもあります。
日頃から相談できれば、最新の法改正や実務トレンドを踏まえた最適な選択肢を得られ、投資家や取引先への説明もスムーズになります。

ビジネスネットワークの拡大

顧問弁護士は法務アドバイザーであると同時に、ビジネスネットワークのハブとしても機能します。
多くのベンチャーや投資家と接点を持つ弁護士なら、自社のフェーズに合ったパートナーや投資家を紹介してくれる可能性があります。
資金調達や業務提携の場面でも、実績ある弁護士が法務を支えている事実は信頼性の証となり、交渉を有利に進める材料になります。
重要な局面での同席依頼も、議論の整理に役立ちます。

顧問弁護士が提供するベンチャー向けサービス

顧問弁護士は、ベンチャーの成長段階に応じた法務サポートを包括的に提供します。
創業期の手続きから、事業拡大期の組織整備、IPOやM&Aといった出口戦略まで、変化の激しい環境下でも法的安定性を保ちながら伴走します。
スポット依頼とは異なり、自社のビジネスモデルや内情を理解した上で、継続的な助言を受けられる点が大きな強みです。
ここでは主な支援内容を解説します。

創業期の法務サポート

創業期は将来の成長基盤を作る重要な時期です。
この段階での法的な不備は、後の資金調達やIPO審査で致命傷になりかねません。
定款や創業株主間契約が曖昧だと、経営権争いや投資家の敬遠を招くリスクがあります。
顧問弁護士がいれば、資本政策の策定や利用規約、雇用契約などの法務インフラを早期に構築でき、リスクを抑えつつ事業の立ち上げに専念できる環境が整います。

新規事業の法的確認

新規事業の立ち上げ時は、ビジネススキームの適法性を確認するリーガルチェックが必須です。
革新的なアイデアも、業法規制に抵触していればサービス停止や信用失墜のリスクがあります。
顧問弁護士と連携し、関連法令やガイドラインを洗い出して適法性を検証することは、事業存続の鍵です。
グレーゾーン解消制度の活用や利用規約の整備など、リスクをコントロール可能な範囲に留めるためのアドバイスも受けられます。

会社設立と関連手続き

会社設立は単なる登記だけでなく、将来の資本政策やガバナンス設計の第一歩です。
定款で株式の種類や譲渡制限をどう定めるかは、その後の資金調達や組織運営に直結します。
顧問弁護士に相談すれば、創業メンバー間の持株比率調整や役員報酬の決定、知的財産の帰属など、実質的な設計支援を受けられます。
スタート時点から将来を見据えた法的構造を作っておくことが、長期的な成長への近道です。

契約書類の作成とチェック

取引が増えるベンチャーでは、契約書の雛形流用や未確認での締結は非常に危険です。
不利な条項が含まれていれば、将来的に損害賠償や事業制限につながりかねません。
顧問弁護士がいれば、ビジネスモデルに合わせた雛形作成から、個別契約の条項修正、交渉アドバイスまで一貫してサポートを受けられます。
特にSaaS等のプラットフォームビジネスでは、利用規約の作り込みが事業リスクを大きく左右するため、専門家の関与が不可欠です。

知的財産の保護

独自の技術やブランドを持つベンチャーにとって、知財保護は競争優位性の生命線です。
権利取得や管理が不十分だと、模倣や他社からの侵害訴訟リスクを招きます。
顧問弁護士は、事業戦略に基づき、特許や商標として権利化すべきか、ノウハウとして秘匿すべきかをアドバイスします。
サービス名の商標調査や、開発委託時の権利帰属の明確化など、契約段階からの関与でトラブルを未然に防ぎます。

資金調達と株主契約

資金調達に伴う投資契約や株主間契約には、優先株式や希薄化防止条項など専門的な内容が多く含まれます。
理解不足のまま契約すると、後の調達が困難になったり、創業者利益が損なわれたりしかねません。
顧問弁護士は、投資家との交渉において自社の利益を守る防波堤となり、契約条項のリスクと許容範囲を明確に示してくれます。
対等な交渉を行うためにも、専門家のバックアップは必須です。

IPO支援と助成金活用

IPOを目指す場合、上場審査ではコーポレートガバナンスやコンプライアンス体制が厳しく問われます。
顧問弁護士の早期関与により、社内規程や議事録の整備、関連当事者取引の整理など、審査に耐えうる体制づくりを計画的に進められます。
また、助成金や補助金の活用においても、申請要件の確認や書類作成のサポートを受けることで採択率を高め、返還リスクを低減することが可能です。

紛争解決のためのサポート

ビジネスにトラブルはつきものですが、初動を誤ると問題が長期化し、膨大なコストと精神的負担を強いられます。
顧問弁護士がいれば、トラブル発生直後から事実整理や証拠保全、窓口対応を依頼でき、迅速な解決を図れます。
訴訟や調停に至った場合でも、自社の事情を熟知した弁護士が代理人となることで、有利な戦略を立てやすくなります。
早期の火消しが、経営へのダメージを最小限に抑えます。

ベンチャーに適した顧問弁護士の選び方

ベンチャー企業の顧問弁護士選びは、スピード感と事業理解が鍵となります。
法律知識があることは前提として、ビジネスモデルへの理解、レスポンスの速さ、経営者のビジョンへの共感が重要です。
ここでは、数ある弁護士の中から自社に最適なパートナーを見極めるためのポイントを解説します。

ビジネスに積極的に関与する弁護士

ベンチャーが求めるのは、法的な可否だけでなく「どうすれば実現できるか」を共に考えるパートナーです。
事業の収益構造や戦略を理解し、規制の壁にぶつかった際も、ビジネスモデルを修正して適法化する代替案を提案してくれる柔軟性が求められます。
面談時は、事業説明に対してどれだけ興味を持ち、具体的な質問や建設的な提案をしてくれるかを確認しましょう。

挑戦的な提案をする弁護士

リスク回避一辺倒ではなく、適切なリスクテイクを支えてくれる弁護士が必要です。
グレーゾーンの領域でも、ビジネス上の勝算とリスクを天秤にかけ、経営判断の材料を提供できるかが重要です。
顧問弁護士を選ぶ際は、守秘義務や利益相反の回避、依頼者への説明といった弁護士の基本姿勢を踏まえ、連絡体制・説明のわかりやすさ・同種案件の経験を事前に確認することが望ましいとされています。
過去のスタートアップ案件の経験や、新しいビジネスへの理解度を質問し、共に挑戦できる姿勢があるかを見極めましょう。

迅速な対応が可能な弁護士

意思決定のスピードが求められるベンチャー企業において、顧問弁護士の対応速度は極めて重要です。
回答を待つ間に業務が停滞しないよう、迅速なレスポンスが期待できる体制であるかを確認する必要があります。
取引対応や紛争対応では期限が設定される場面も多いため、顧問契約の締結前に、連絡手段や返信の目安時間を取り決めておくことが望ましいとされています。
あわせて、チャットツールでの相談可否や緊急時の連絡方法、土日祝日の対応範囲、オンライン会議への対応可否なども確認しておくと安心です。

顧問料の適正価格を見極める

顧問料は安さだけで選ばず、サービス内容とのバランスを見ることが大切です。
顧問料は事務所や支援範囲によって幅があり、月2~3時間程度の相談を含む顧問料として5万円程度が多いと示されています。
自社の利用頻度や契約書レビュー件数、緊急対応の有無を踏まえて見積もりを取り、範囲と追加費用条件を確認しましょう。
料金体系が明確で、成長フェーズに合わせてプラン変更ができる事務所なら安心です。

ベンチャー法務の専門家を選ぶ

ベンチャー企業なら、ファイナンスやストックオプション、知財戦略など、特有の論点に精通した弁護士を選ぶべきです。
事務所のホームページで実績を確認したり、他の経営者から評判を聞いたりするのが有効です。
専門性が高い弁護士なら説明の手間も省け、質の高いアドバイスを効率的に得られます。
契約書レビューの精度や、投資家との交渉経験など、具体的な実務能力を確認しましょう。

顧問弁護士の費用と価値

顧問弁護士の費用は、将来の損失を防ぎ事業を加速させるための投資です。
トラブル対応に費やす時間とコスト、社会的信用の損失を考えれば、日常的に相談できる体制の価値は計り知れません。
ここでは、具体的な費用の目安と、その対価として得られる価値について整理します。

顧問料の相場とその内訳

顧問料は内容・時間枠・地域などで差があるとされ、月2~3時間程度の相談で5万円程度が多い結果が示されています。
自社に必要な対応範囲(相談時間・契約書レビュー件数等)に照らして見積もりを比較するとよいでしょう。
通常、顧問料には日常的な法律相談や簡易な契約書チェックが含まれますが、就業規則作成や訴訟対応などは別途費用となるのが一般的です。
契約前に業務範囲と追加費用の条件を明確にしておくことが、トラブル防止につながります。

費用対効果を考えるポイント

費用対効果は「防げた損失」と「意思決定のスピードアップ」で測れます。
不利な契約条項の修正で数百万円の損害を回避できるケースや、法務リサーチ時間の短縮で事業開発に集中できるメリットは大きいです。
また、社内に法務担当者を雇用する人件費と比較しても、必要な時だけ専門知見を活用できる顧問弁護士はコストパフォーマンスに優れています。
リスク管理と成長支援の両面で価値を検討しましょう。

まとめ:ベンチャー企業に顧問弁護士が必要な理由

ベンチャー企業にとって顧問弁護士は、事業成長を支える不可欠なインフラです。
予防法務によるリスクコントロール、迅速なトラブル対応、戦略的なアドバイスは、不確実性の高いビジネスにおいて強力な武器となります。
自社のフェーズやカルチャーに合った弁護士と強固なパートナーシップを築くことが、企業の生存率を高め、さらなる飛躍へとつながる鍵となるでしょう。

青山東京法律事務所の紹介

青山東京法律事務所は、ビジネス経験豊富な弁護士を多数抱えています。
事業立ち上げ期から成長フェーズまで、契約書整備、資金調達、労務対応など幅広い課題に対応しています。スピード感と実務理解を重視した法的支援をお求めの方は、初回面談で現状をお聞かせください。
ベンチャー企業の顧問弁護士をお探しなら、青山東京法律事務所にご相談ください。

監修者

植田統

植田 統   弁護士(第一東京弁護士会)

東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士

東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。 野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。 米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。

2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。

現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。

無料相談を実施中