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土地を遺産として相続する場合、所有者や相続人の確認、登記手続き、相続税の申告・納付、そして土地の分け方の選択など、複雑な手続きが必要となります。
2024年4月からは相続登記が義務化され、より一層の注意と迅速な対応が求められるようになりました。

本記事では、実際の事例や最新の法改正を交えながら、土地相続の流れや分割方法、必要書類、相続税の計算方法、小規模宅地等の特例まで、初めての方にも分かりやすく徹底解説します。
スムーズでトラブルのない相続のために、ぜひ参考にしてください。

土地を遺産として相続する場合の流れ

遺産となる土地の所有者を確認する

まず、相続の対象となる土地の所有者を正確に把握することが重要です。
たとえば、被相続人が複数の土地を所有していた場合、登記簿謄本や固定資産税の納税通知書などを確認し、どの土地が遺産に含まれるかを明確にします。

特に、相続人が把握していない土地が存在するケースもあるため、漏れなく調査しましょう。

土地の相続人を確定する

次に、誰が相続人となるかを確定します。遺言書がある場合はその内容に従い、遺言書がない場合は民法の規定に基づき法定相続人が決まります。

たとえば、配偶者と子がいる場合、配偶者が1/2、子が残りを均等に分けるのが原則です

(民法第900条)。
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行い、全員の合意で分割方法を決定します。

民法第900条 抜粋】
被相続人の配偶者及び子は、相続人となる。配偶者の相続分は二分の一とし、子の相続分は残りを均等に分ける。

関連記事:相続の範囲はどこまで?法定相続人の順位と遺産の対象を徹底解説

相続登記(名義変更)の手続きを行う

2024年4月1日より、相続登記(名義変更)が義務化されました。
不動産登記法第76条の2により、土地の所有権移転登記の申請が必要です。具体的な手順は後述しますが、まずは「相続登記が必要である」という点を押さえておきましょう。

不動産登記法第76条の2 抜粋】
相続等による所有権の移転の登記の申請は、相続があったことを知った日から3年以内にしなければならない。

相続税の申告と納付を行う

土地を含む遺産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告・納付が必要です。
申告期限は被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。

登記識別情報通知を受け取る

相続登記が完了すると、登記識別情報通知が発行されます。
これは従来の登記権利証に代わる重要な書類であり、今後の売却や担保設定時に必要となります。

遺産として相続した土地の分け方

土地の分割方法には主に4つの方法があります。

現物分割

土地そのものを物理的に分割し、各相続人が一部ずつ取得する方法です。
たとえば、100坪の土地を50坪ずつ2人で分けるケースが該当します。
現物分割は土地の形状や利用状況によっては難しい場合もあります。

メリット

  • 各相続人が実際に土地を所有できるため、独立した利用や処分が可能。
  • 共有によるトラブルを避けやすい。

デメリット

  • 土地の形状や利用状況によっては分割が困難な場合がある。
  • 分割後の土地の価値が均等にならないことがある。

換価分割

土地を売却し、その売却代金を相続人で分ける方法です。
たとえば、相続人全員が土地を利用しない場合や、分割が困難な場合に有効です。
メリット

  • 土地を現金化するため、分配が明確で公平になりやすい。
  • 利用予定がない場合や分割が難しい場合に有効。

デメリット

  • 売却までに時間がかかることがある。
  • 売却価格が相場より低くなるリスクがある。
  • 相続人が思い入れのある土地を手放すことになる。

代償分割

特定の相続人が土地を取得し、他の相続人にはその代償として現金などを支払う方法です。
たとえば、長男が土地を取得し、次男にはその分の現金を支払うといったケースです。

メリット

  • 特定の相続人が土地を取得できるため、土地の一体的な利用が可能。
  • 他の相続人には現金等で公平に分配できる。

デメリット

  • 代償金を用意する相続人に資金力が必要。
  • 代償金の額を巡ってトラブルになることがある。

共有分割

土地を相続人全員で共有名義にする方法です。
将来的な売却や利用時に全員の同意が必要となるため、トラブル防止のためには事前にルールを決めておくことが重要です。

メリット

  • 土地を売却せずに全員が権利を持てる。
  • 分割や売却が難しい場合の一時的な解決策となる。

デメリット

  • 利用や処分の際に全員の同意が必要で、トラブルの原因になりやすい。
  • 将来的に共有者が増えると権利関係が複雑化する。

相続登記(名義変更)の方法

相続登記の必要書類

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書(協議が成立している場合)
  • 土地の登記簿謄本
  • 固定資産評価証明書

などが必要です。

相続登記の費用

登録免許税(固定資産評価額の0.4%)、司法書士報酬(依頼する場合)、必要書類の取得費用などがかかります。

遺産となる土地の相続税の計算方法

相続税の計算は以下の手順で行います。

  1. 遺産総額の算出
  2. 基礎控除額の計算
  3. 課税遺産総額の算出
  4. 法定相続分ごとの税額計算
  5. 各人の納付税額の計算

関連記事:遺産の相続割合はどのように決まる?法定相続分を徹底解説

基礎控除の計算方法

基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。
たとえば、相続人が配偶者と子2人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。

土地の評価方法

土地の評価は主に「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。

路線価方式

市街地の土地など、国税庁が定める路線価がある場合に適用されます。路線価×土地面積で評価額を算出します。

倍率方式

路線価が設定されていない地域の土地に適用されます。固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価額を算出します。

小規模宅地等の特例制度

一定の要件を満たす場合、土地の評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」が適用されます。

たとえば、被相続人の自宅や事業用地が該当します。特定居住用宅地等、特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等については、以下を参照してください。

制度名 概要・対象となる土地例 減額割合(最大) 主な要件例
特定居住用宅地等 被相続人の自宅 80% 相続人が居住継続など
特定事業用宅地等 被相続人の事業用地 80% 事業継続など
貸付事業用宅地等 被相続人が貸付事業に使っていた土地 50% 貸付事業の継続など
特定同族会社事業用宅地等 被相続人が経営する同族会社の事業用地 80% 会社の事業継続など

この表は、制度ごとの対象となる土地や減額割合、主な要件をまとめたものです。詳細な適用要件や具体例については、国税庁や専門家の解説ページもご参照ください。

まとめ

土地の遺産相続は、所有者や相続人の確定、登記手続き、税金の申告・納付、分割方法の選択など、多くの手続きが必要です。2024年4月からは相続登記が義務化されているため、早めの対応が求められます。
具体的な事例や条文を参考に、正確かつ円滑な相続を進めましょう。

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監修者

植田統

植田 統   弁護士(第一東京弁護士会)

東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士

東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。 野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。 米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。

2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。

現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。

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