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債務整理・事業再生-会社破産のメリット

会社が債務超過や支払不能となってこのままでは負債を支払えない状態になったとき、そのときの手持ち資産によって負債を可能な限り支払い、清算を行うことを破産といいます。法人が破産すると、法人そのものが消滅するため、債務が免除されることになります。 

 

会社破産の手続きの流れとしては、まず会社は、裁判所に対する破産申し立てをしてもらう弁護士を選任します。申し立ては、代表者本人で行うことも不可能というわけではありませんが、複雑な手続きが多いことから、弁護士に依頼するのが一般的です。 

 

依頼を受けた弁護士は、会社の債権、債務状況を調査して、債務超過や支払い不能の状態にあるかを判断し、確かに債務超過である、支払い不能であると判断しときに、破産申し立てに向けて準備を開始します。 

 

弁護士が行う第一のステップは、債権者に対する受任通知の発送です。受任通知とは、会社が支払不能に陥ったので、債務整理に向けて弁護士が依頼を受けましたということをお知らせする通知で、これによって会社は支払い不能に陥ったことを宣言することとなり、それ以降、会社による自由な財産処分は制限されることになります。その一方で、受任通知発送以降は、弁護士が前面にたって債務整理をしていくことになりますので、代表者や会社に対する取り立ては終わり、代表者はうるさい取り立てから解放されるというメリットがあります。 

 

弁護士は、受任通知を発送以降、会社の債権債務関係、資産内容等をさらに綿密に調査し、その調査が終了すると、裁判所へ必要書類を取り揃えて破産申し立てをすることになります。受任通知を送ってから裁判所へ破産申し立てをするまでの期間は、概ね1~3か月といったところです。 

 

裁判所に申し立てると、裁判所により破産管財人が任命されます。破産管財人には、その裁判所の管轄地の弁護士が選ばれます。この後は、破産管財人の下で破産手続きが進められていきます。具体的には、破産管財人が申し立て代理人の弁護士が提出した書類を細かく検討して、破産会社の債権債務関係を確定し、財産を換価していくことになります。 

 

破産管財人選任後の手続きとしては、約3か月後に第一回債権者集会が設定され、債権者が参加することができる場で、破産会社の債権債務関係、資産内容などについての報告が行われます。この時までに、財産の換価が終わっているが、債権者への配当を行えるほどの財産もなく、それ以外に調査を要するような問題が残っていなければ、そのまま破産手続きが終了します。私のこれまでの経験からすると、7,8割のケースはこれにあたります。 

 

残りの2,3割のケースでは、第二回、第三回と債権者集会が積み重なっていくのですが、それは不動産の売却が終わらないとか、破産会社の使途不明金がある等の場合です。 

 

ここまでが破産会社についてでしたが、代表者個人について、以下に述べていきます。 

 

多くの破産会社の代表者は、会社の債務について連帯保証をしていますので、代表者も会社と同時に破産手続をとることになります。破産手続きの進み方は、上に述べてきた破産会社と同じです。 

 

会社と違いがあるのは、代表者個人には生活があるので、一定金額の財産が自由財産として残されることです。東京地裁の場合には、代表者が破産をする時点で99万円までの現金と預金等を20万円までを手元に残すことができることになっています。 

 

破産手続が終わると、代表者個人の債務は基本的には免責されるので、破産前に負っていた債務を返済する必要はなくなりますが、所得税、住民税などの税金と社会保険料は、破産した後にも返済すべき債務として残ります。 

 

代表者個人が破産をすると、官報には掲載されますが、戸籍や住民票に破産が記載されることはなく、周囲の人に簡単に破産した事実が知られることはありません。ただし、金融機関やクレジット会社などは、官報をみて、信用情報を蓄積していますので、ローンやクレジットの審査に通らない状態となります。 

 

従業員については、会社が消滅するのですから、職を失うことになります。未払い賃金や退職金の支払いについては、法律上の優先権がありますので、その分の資金が会社に残っていれば、優先的に支払いが行われます。 

監修者

植田統

植田 統

1981年、東京大学法学部卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。
ダートマス大学MBAコース留学後、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルティングを担当。
野村アセットマネジメントで資産運用業務を経験し、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。
レクシスネクシス・ジャパン株式会社の社長を務め、経営計画立案・実行、人材マネジメント、取引先開拓を行う。
アリックスパートナーズでライブドア、JAL等の再生案件、一部上場企業の粉飾決算事件等を担当。
2010年弁護士登録後、南青山M's法律会計事務所に参画。2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。
現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論を講義。数社の社外取締役、監査役も務める。

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