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会社で不当な扱いを受けてお困りではありませんか。
対処法がわからず悩むケースもあります。
会社で受けた不当な扱いは専門家に相談できます。
主な相談先として、弁護士や労働基準監督署などが挙げられます。
本記事では、主な相談先の特徴と内容別におすすめの相談先を紹介するとともに、相談時に意識したいポイントなどを解説しています。
問題解決の参考として役立ててみてください。
目次
会社で受ける不当な扱いとは?
会社で働いていると、不当と思える扱いを受けることがあります。
代表的な例は以下の通りです。
【不当な扱いの例】
- 職場環境に関する不当な扱い
- 賃金に関する不当な扱い
- 労働時間や休憩・休暇に関する不当な扱い
- 待遇の差に関する不当な扱い
- 労働契約に関する不当な扱い
ここでは、各ケースについて解説します。
職場環境に関する不当な扱い
身近な例として、職場環境に関する問題が挙げられます。
具体例は次の通りです。
【具体例】
- 労働安全衛生法に基づく健康診断を行っていない
- 育休や産休を取得しにくい、または取得できない
- 「男のくせに情けない」「女のくせに生意気」など性差別の意識が根付いている
たとえば、労働安全衛生法では以下のように定められています。
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
必要な健康診断を実施していない場合は、不当な扱いに該当します。
賃金に関する不当な扱い
勤務先で賃金に関する問題が起こることもあります。
具体例は次の通りです。
【具体例】
- 最低賃金以下で労働契約を結ばされた
- 肩書だけ管理職になっているため残業代が支払われない
- 退社時間を記録してから残業をさせられる
最低賃金以下で労働契約を結んでも当該部分は無効になります。
最低賃金法で次のように定められているためです。
最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
このようなケースも不当な扱いに該当します。
労働時間や休憩・休暇に関する不当な扱い
労働時間や休憩・休暇に関する問題で頭を悩ませることもあります。
具体例は以下の通りです。
【具体例】
- 会社の伝統だからといって有休をとらせてくれない
- 毎週1日の休日または4週に4日以上の休日がない
- お昼の休憩時間も雑務をさせられる
たとえば、労働基準法で年次有給休暇について以下の定めがあります。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
正当な理由なく有給休暇の取得を拒否する行為も、不当な扱いに該当します。
待遇の差に関する不当な扱い
職場では、待遇差に関する問題が起こることもあります。
具体例は次の通りです。
【具体例】
- 非正規社員は能力の向上に応じて行う昇給がない
- 職務内容が同じでも、非正規雇用は教育訓練を受けられない
- 女性というだけで男性社員より賃金が低い
パートタイム・有期雇用労働法には、以下の定めがあります。
事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。
法律で禁止されている不合理な待遇差も、不当な扱いの一つにあたります。
労働契約に関する不当な扱い
労働契約に関する問題に直面することもあります。
具体例は次の通りです。
【具体例】
- 労働契約書に記載されている内容と実際の労働条件が異なる
- 代わりになる人がいないという理由で退職を認めてもらえない
- 合理的な理由がないにもかかわらず予告なく解雇された
たとえば、実際とは異なる契約条件を提示している場合、契約違反と考えられます。
また、労働基準法で労働条件の明示について以下のように定められています。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
上記の義務も怠っているといえるでしょう。
会社で不当な扱いを受けた際の相談先
会社で不当な扱いを受けた場合は、次の機関で相談できます。
【相談先の例】
- 弁護士
- 法テラス
- 労働基準監督署
- 労働局
- 労働条件相談ほっとライン
- 都道府県労働局 総合労働相談コーナー
- 都道府県労働局 雇用環境・均等部
それぞれの特徴を解説します。
弁護士
幅広い労働問題を相談できる法律の専門家です。
具体的には、以下の問題などを扱っています。
【相談内容の例】
- 残業代の未払い
- パワハラ
- マタハラ
- セクハラ
- 解雇
として、会社と交渉してくれたり、訴訟を起こしてくれたりする点が特徴です。
たとえば、不当な扱いで生じた損害の賠償を求めて訴訟を検討することもできます。
労働問題の解消を目指す場面で利用しやすい相談先といえます。
法テラス
法テラス(日本司法支援センター)は以下のように定義されています。
法的なトラブルの解決に必要な情報やサービスの提供を受けられるように国によって設立された法的トラブル解決のための「総合案内所」
具体的には、サポートダイヤルや地方事務所で以下の業務などを行っています。
【業務内容】
- 情報提供
- 民事法律扶助業務(弁護士費用などの立替)
- 司法過疎対策業務(法律サービスを受けにくい地域に事務所を設置などする業務)
相談窓口を紹介して欲しいときや法律に関する一般的な情報を教えてほしいときに適しています。
労働基準監督署
労働法に基づき管轄内の事業所を監督指導などする厚生労働省の第一線機関です。
以下の相談や申告を受け付けています。
【申告・相談の内容】
- 労働条件に関する相談
- 労働法の違反に関する申告
従業員からの相談をきっかけに、事業所へ立ち入って、労働条件について確認することもあります。
法律に違反している場合は、事業主などに対し是正を指導します(調査・是正などを必ず行うわけではありません)。
ただし、すべての労働問題に対応しているわけではなく、相談者の代理人として行動してくれるわけでもありません。
労働局
労働局は、以下のように定義されています。
労働局は、「働く」ということに関連する様々な行政分野を、総合的・一元的に運営しながら、地域に密着した行政を担う厚生労働省の地方機関です。
引用:(pdf)厚生労働省「職員採用案内2025国家公務員一般職 労働局 労働基準監督署 公共職業安定所( ハローワーク)」
労働基準監督署とハローワークは、労働局が所管する組織です。
非正規雇用の待遇改善、男女の均等取扱い、ハラスメントなど、幅広い相談に対応しています。
従業員と使用者の紛争解決をサポートすることもあります。
労働条件相談ほっとライン
労働条件相談ほっとラインは、厚生労働省委託事業です。
以下のように定義されています。
労働基準関係法令に関する問題について、専門知識を持つ相談員が、法令・裁判例をふまえた相談対応や各関係機関の紹介などを行う、電話相談です。
具体的には、時間外労働やサービス残業など、労働基準関係法令に関する相談を受け付けています。
ただし、労働基準監督署のように事業所に対する監督指導は行えません。
また、労働条件以外の相談については、専門の相談窓口を案内しています。
匿名で相談できる点や平日夜間、土日祝日の電話相談に対応している点もポイントです。
都道府県労働局 総合労働相談コーナー
あらゆる分野の労働問題を対象に、情報提供をワンストップで行っている相談窓口です。
相談できる主な内容は次の通りです。
【相談内容の例】
- 各種ハラスメント
- いじめ
- 雇い止め
- 労働条件の不利益変更
- 性自認・性的志向
相談を受けて、助言・指導・斡旋の案内も行っています。
希望に応じて、他の紛争解決機関の情報提供を行っている点もポイントです。
基本的な情報をワンストップで集められるため、どこで相談すればよいかわからないときに適しています。
都道府県労働局 雇用環境・均等部
各都道府県の労働局内にある部署です。
働きやすい雇用環境を実現するため、さまざまな取り組みを行っています。
具体的には、法制度の周知、相談受付、紛争解決のサポートなどを行っています。
相談できる主な内容は次の通りです。
【相談できる内容】
- パワハラ・セクハラ
- 育児・介護休業に関する問題
- 性別を理由とする差別
労働基準監督署とは、相談できる内容が異なります。
相談内容別!おすすめの相談窓口
ここまでの説明でわかる通り、各相談機関が扱っている労働問題は異なります。
相談内容別におすすめの相談機関を紹介します。
| 相談内容 | おすすめの相談先 | 弁護士への相談可否 |
|---|---|---|
| セクハラ・パワハラ | 労働局雇用環境・均等部 | 可 |
| 出産・育児・介護などに関する不利益 | 労働局雇用環境・均等部 | 可 |
| 残業代の不払い | 労働基準監督署、労働条件相談ほっとライン | 可 |
| 予告なく解雇された | 都道府県労働局 総合労働相談コーナー | 可 |
| 時間外労働 | 労働基準監督署、労働条件相談ほっとライン | 可 |
| 労働条件の引き下げ | 労働局雇用環境・均等部、総合労働相談コーナー、労働基準監督署 | 可 |
| 休暇や有給休暇を取得できない | 労働基準監督署、労働条件相談ほっとライン | 可 |
| 非正規雇用に対する不当な扱い | 労働局雇用環境・均等部 | 可 |
| 職場における男女差別 | 労働局雇用環境・均等部 | 可 |
| 雇用契約書と労働条件が異なる | 労働基準監督署、労働条件相談ほっとライン | 可 |
労働基準監督署は主に労働法に関する問題、労働局雇用環境・均等部は主にセクハラやパワハラ、育児・介護休業などに関する問題に対応しています。
弁護士は幅広い労働問題に対応可能です(弁護士により専門分野は異なります)。
相談先で悩む場合は、弁護士を活用することもできます。
労働基準監督署などの公的機関に相談するメリット
労働基準監督署や労働局雇用環境・均等部などの公的機関に相談する主なメリットは以下の通りです。
【主なメリット】
- 専門家に無料で相談できる
- 関係する法律に基づくアドバイスを受けられる
- 調査や指導などの対応を行ってくれることがある
専門家から関係法令に基づく具体的なアドバイスを無料で受けられる点が特徴といえます。
相談先や相談内容によっては、調査や指導など、問題解決に向けた対応をしてくれることもあります。
労働基準監督署などの公的機関に相談するデメリット
公的機関への相談にはデメリットもあります。
主なデメリットは以下の通りです。
【主なデメリット】
- 一般的なアドバイスに留まることがある
- 希望している対応をしてくれるとは限らない
- 相談先を選ぶ必要がある
相談先や相談内容によっては、一般的なアドバイスに留まり、具体的な対応をしてくれないことがあります。
たとえば、残業代の不払いや長時間労働などは、公的機関に相談しても解決できないケースが少なくありません。
デメリットを理解したうえで、相談先を選択することが重要です。
弁護士に相談するメリット
弁護士にも会社で受けた不当な扱いについて相談できます。
弁護士に相談する主なメリットは次の通りです。
【主なメリット】
- 依頼者の代理人として会社と交渉してくれる
- 必要な証拠を集められる
- 裁判に関するサポートを受けられる
弁護士に依頼すると、会社が従業員の訴えを無視しにくくなります。
アドバイスをもとに証拠を集められる点も魅力です。
適切な解決を図りやすくなる点もメリットに挙げられます。
弁護士に相談するデメリット
弁護士への相談にもデメリットがあります。
主なデメリットは以下の通りです。
【主なデメリット】
- 原則として相談料がかかる
- 依頼すると着手金や報酬などが発生する
弁護士に相談すると、原則として相談料がかかります。
費用が気になる場合は、初回の相談を無料にしている法律事務所を選ぶとよいでしょう。
また、正式に依頼すると着手金や報酬などが発生します。
ただし、残業代の請求などでは、依頼により回収額が増加することがあります。
費用面だけでなく、得られる効果も踏まえて検討することが重要です。
会社で受けた不当な扱いについて相談する際のポイント
不当な扱いについて相談するときに意識したいポイントは次の通りです。
【意識したいポイント】
- 相談内容をメモに書いておく
- 不当な扱いを証明できる資料をなるべく準備する
- 相談する際は十分な時間を確保しておく
ここでは、これらについて解説します。
相談内容をメモに書いておく
会社で受けた不当な扱いを正確に伝える必要があります。
したがって、相談前に「いつ」「どこで」「何が起きたか」をメモにまとめておくことが大切です。
日付や時間を記載して時系列でまとめると状況を説明しやすくなります。
不当な扱いを証明できる資料をなるべく準備する
相談前に、不当な扱いを証明する資料も集めましょう。
証拠として活用できる可能性がある資料の例は次の通りです。
【資料の例】
- 賃金について:給与明細・預金通帳・雇用契約書など
- 残業時間について:タイムカード・業務日報・シフト表など
- 労働条件について:労働条件通知書・雇用契約書など
活用できる可能性のある資料を幅広く収集する姿勢が求められます。
相談する際は十分な時間を確保しておく
十分な相談時間を確保しておくことも重要です。
時間がないと、伝えたいことを伝えられなかったり、適切なアドバイスを受けられなかったりすることがあります。
初回の相談に必要な時間は30~60分程度が目安です。
余裕をもってスケジュールを組みましょう。
会社で不当な扱いを受けたときは弁護士に相談
本記事では、会社で不当な扱いを受けたときの相談先について解説しました。
主な相談先として、労働基準監督署や労働局雇用環境・均等部が挙げられます。
ただし、公的機関は相談者の希望通りに動いてくれるわけではありません。
具体的な解決を求めている場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
法律に基づくアドバイスを受けられるだけでなく、依頼者の代理人として会社と交渉もしてくれます。
お困りの方は、東京の労働問題に強い弁護士なら青山東京法律事務所にご相談ください。
不当解雇・残業代の不払い・ハラスメントなど、幅広い労働問題を取り扱っています。
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監修者
植田 統 弁護士(第一東京弁護士会)
東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士
東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。
野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。
米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。
2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。
現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。



