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監修者:植田 統 弁護士(第一東京弁護士会)
青山東京法律事務所 代表
東大法学部卒、ダートマス大学MBA。東京銀行、ブーズ・アレン、アリックスパートナーズ等で経営戦略や企業再生の要職を歴任。現在は青山東京法律事務所代表として、約40社の顧問弁護士を務める。豊富なビジネス経験を武器に、高度な企業法務や事業承継を完遂する実務派弁護士。

正当な理由がなく一方的に解雇された場合、不当解雇に該当する可能性があります。
突然解雇されれば、収入が途絶え、生活もままならなくなるでしょう。
しかし、適切な窓口に相談して対処すれば、不当解雇に関するトラブルを解決できるかもしれません。

本記事では、不当解雇に関する相談窓口と、トラブルの解決を目指す流れを解説します。
「仕事を急に辞めさせられた」「明日から来なくていいと言われた……」という方は、ぜひ本記事をお役立てください。

不当解雇の相談が可能な窓口

不当解雇について相談できる主な窓口は、以下の通りです。

【不当解雇の相談が可能な窓口】

  • 弁護士事務所
  • 労働組合・ユニオン
  • 労働基準監督署
  • 労働委員会
  • 都道府県労働局
  • 総合労働相談コーナー
  • 法テラス
  • 労働条件相談ほっとライン
  • 社会保険労務士会・社労士会労働紛争解決センター
  • ハローワーク

弁護士事務所

不当解雇に関する相談窓口として、もっとも適しているといえるのは弁護士事務所です。
弁護士が法的な観点で話し合いを進めてくれるため、会社側にも交渉に応じてもらいやすくなります。
また、法的な手続きの一つである労働審判(※)を申し立てれば、和解金の受け取りといったかたちで解決を目指せる場合があります。
労働審判で解決できない場合は、訴訟によって解雇の無効や損害賠償を求めることも可能です。

なお、弁護士事務所によっては、相談費用がかかる点に注意しておきましょう。
なかには無料で相談できるところもあるので、どのように対処すべきかを判断するためにも、まずは無料相談窓口を設けている弁護士事務所に相談してみるのがおすすめです。

※労働者と会社の間のトラブルを迅速に解決するために調停を行う制度

労働組合・ユニオン

社内の労働組合や、労働者個人が加入できる社外のユニオン(合同労組)に相談するのも、不当解雇に関するトラブルを解決する手段の一つです。
両者は労働者の権利を守る団体のことで、団体交渉を通じて、会社に対して不当解雇の撤回や和解金の支払いを求められます。
また、労働組合法第7条2号により、会社はこうした団体交渉に応じる義務があるため、交渉の場を設けやすくなります。

一方、交渉内容に応じるかどうかの判断は会社に委ねられているので、結果として和解できないケースがある点に注意しておかなければなりません。
交渉で解決できなかった場合は、弁護士へ依頼し、労働審判や訴訟などの法的な手続きへ移行する必要があります。

労働基準監督署

労働基準監督署(労基署)とは、労働に関する法律が順守されているのかを監督し、労働者の権利を守る公的機関です。
雇用に関して法律上の違反があると疑われる会社に対して立ち入り調査を行い、問題があると判断した場合には、是正勧告書を交付したり、指導を行ったりする権限を持ちます。
悪質な違反がある場合には、送検などの手続きが取られることもあるため、会社側の自主的な是正に期待できます。

しかし、労基署はあくまでも、労働基準法をはじめとする労働法の違反を監督・指導する機関であるため、解雇の正当性を判断する機関ではありません。
労働災害による休業中や産前産後の休業中の解雇など、労働基準法違反が疑われる事案でなければ、対応してもらえない可能性があります。

ご自身の解雇が労働基準法に違反しているかどうかがわからない場合は、一度相談してみるのがよいでしょう。

労働委員会

第三者にあっせん(※)を依頼したい方は、労働委員会に相談するのがおすすめです。
労働委員会とは、労使間で生じたトラブルに中立の立場で介入し、解決に向けて支援する行政機関のことで、各都道府県に設置されています。
利用することで、専門知識を持つ委員とともに会社との話し合いを進められます。

ただし、その交渉の内容には法的な強制力がないため、必ずしも解決できるとは限りません。
労働委員会はあくまでも、専門知識を駆使して交渉をサポートしてくれる機関であるということを把握しておきましょう。

※専門知識を有する第三者が労使間のトラブルに介入して調停や話し合いを支援すること

都道府県労働局

都道府県労働局も、不当解雇に関する相談窓口の一つです。
各都道府県に設置されている労働局は厚生労働省の地方出先機関で、労働者と会社のあいだで起こったトラブルの解決に向けた助言やあっせんを実施しています。

あっせんが不成立となった場合は、労働局から「あっせん打ち切り通知」を受け取って30日以内に裁判を起こすと、あっせんを申請した時点で訴えを提起したものと見なされます。
つまり、不当解雇に関する請求権の時効が迫っている場合でも、権利行使の機会を確保しやすくなるわけです。

したがって、労働局は交渉での解決を目指しつつ、法的な手続きも視野に入れている方に適した相談先といえます。
なお、あっせん自体には法的な強制力がないため、話し合いがまとまらなかった場合は解決に至りません。

総合労働相談コーナー

労基署内や労働局内に設置されている総合労働相談コーナーでは、不当解雇のような労働問題に関して、専門の相談員からアドバイスを受けられます。
トラブルの解決に向けて具体的なサポートが受けられるわけではありませんが、予約不要かつ無料で相談できます。

そのため、まずは不当解雇について相談したい方や、どこの窓口に相談すればよいのかを知りたい方に向いている相談窓口といえるでしょう。

法テラス

弁護士への相談を希望しているものの、「費用面で不安がある……」という方は、法テラスへ相談するのがおすすめです。
法テラスは、収入や資産が一定基準以下の方に向けて法律に関する無料相談を行っています。
利用することで、弁護士に無料で不当解雇に関する相談を行えます。
同一案件につき3回まで無料で相談できるうえ、正式に依頼する場合にも、一定の条件を満たすことで着手金を法テラスに立て替えてもらい、分割で返済することも可能です。

ただし、弁護士をご自身で選べないため、相談できる弁護士が必ずしも不当解雇のトラブルに関する実績を持っているとは限らない点に注意が必要です。

労働条件相談ほっとライン

労働条件相談ほっとラインは、厚生労働省の委託事業として運営されている無料の電話相談窓口です。
労働問題全般に関する相談が可能で、不当解雇についてもアドバイスを受けられます。
また、必要に応じてより適切な相談先も案内してもらえるため、「まずは状況を整理したい」「どこへ相談したらいいかわからない……」という方に有用な相談窓口です。

社会保険労務士会・社労士会労働紛争解決センター

社会保険労務士会(社労士会)は不当解雇のトラブルに関して相談できる窓口です。
さらに、解決に向けたあっせんを希望する場合は、社労士会が運営する社労士会労働紛争解決センターに依頼できます。
依頼すれば、特定社会保険労務士にあっせん手続きの代理人として対応してもらい、円満な和解に向けて話し合いを進めてもらうことが可能です。

しかし、社労士会や社労士会労働紛争解決センターは、話し合いによる解決を支援する窓口であるため、法的な手続きを検討している場合は弁護士に相談するのがよいでしょう。

ハローワーク

ハローワークは、不当解雇後の失業保険や離職票について相談できる窓口です。
解雇されたあとに不当解雇に関して会社と話し合いをしている期間中でも、一定の条件を満たすことで、仮給付として失業保険を受給できます。
また、離職票に記載されている離職理由を変更してもらえる可能性があるので、その内容に異議がある場合はハローワークに相談してみるとよいでしょう。

なお、ハローワークは失業保険や離職票の手続きに関して相談できる機関であり、不当解雇そのものを解決できる機関ではありません。
会社との交渉や法的な手続きに関する相談は、弁護士事務所をはじめとするほかの専門機関への相談が必要です。

不当解雇に関して相談する際の準備

ここまで、不当解雇に関する相談窓口をご紹介してきました。
しかし、会社との交渉や法的な手続きを適切かつ有利に進めるためには、実際に相談する前に以下の準備を済ませておくことが大切です。

【不当解雇に関して相談する際の準備】

  • 解雇に同意せずに就労意思を示す
  • 解雇通知書と解雇理由証明書を請求する
  • 会社の就業規則を確認する
  • 客観的な証拠を集める

解雇に同意せずに就労意思を示す

ご自身の解雇を不当解雇として主張し、労働審判や団体交渉などの対応を行うためには、解雇に同意せず勤続の意思を示すことが重要です。

たとえ不当解雇に該当する事案であっても、解雇に対する同意があったと認められた場合、その後の労働審判や団体交渉を有利に進められなくなる可能性があります。
同意と見なされる可能性がある行為には、退職届へのサインや、「はい」「わかりました」のような発言、退職金の請求、離職票の交付請求などが挙げられます。
とりわけ、法的な手続きを検討している方は、会社側に「労働者が解雇に同意した」と指摘できる余地を与えないよう注意しなければなりません。

万が一、書面や口頭で解雇への同意を促された場合は、サインはせず、解雇に納得していない旨を伝えたうえでメールや書面、録音データなどの形で残しておきましょう。

解雇通知書と解雇理由証明書を請求する

不当解雇についてのトラブルが労働審判や裁判にまで発展した場合は、証拠が重要となります。
なかには、会社側が「解雇はしていない」「労働者が退職を申し出た」と主張してくるケースもあります。
このような状況への備えとして、会社から解雇通知書や解雇理由証明書を受け取っておくことが大切です。

解雇通知書は、会社が労働者に対して解雇の意思表示をする書面のことで、解雇された証拠となります。
一方、解雇理由証明書は解雇の具体的な理由が記載されている書面のことです。
不当解雇かどうかを判断する材料となるため、会社へ必ず請求しておきましょう。

会社には解雇通知書を発行する義務はないものの、解雇理由証明書は労働基準法第22条に基づき、労働者から請求された場合に必ず発行しなくてはなりません。
いずれの書面も、解雇を通知されてから解雇されるまでの在職期間中に請求できます。

万が一、在職期間中に解雇理由証明書を請求できなかった場合でも、退職後2年間は、具体的な解雇理由が記載された退職証明書の発行を請求することが可能です。

会社の就業規則を確認する

不当解雇に関して争う場合は、会社の就業規則を確認しておくことも重要です。
就業規則に記されていない理由で解雇された場合は、会社が労働者を不当に解雇した証拠として提示できる可能性があります。

懲戒解雇の場合も、就業規則に記されていない事由で労働者を解雇することができないため、解雇の理由が示されている場合は、根拠となる規定の存在を確認しておきましょう。

客観的な証拠を集める

労働審判や裁判を有利に進めるには、以下のような客観的な証拠を集めておくことが先決です。

【不当解雇について会社と争う際に集めておくべき証拠】

  • 労働契約に関する証拠:雇用契約書、労働条件通知書など
  • 労働条件に関する証拠:賃金規程、就業規則のコピーなど
  • 労働状況に関する証拠:給与明細書、勤怠に関するデータなど
  • 解雇状況に関する証拠:解雇予告通知書、解雇通知書、解雇理由証明書、退職証明書など

「解雇が通知されたか」「解雇に同意していないか」「解雇の理由は正しいのかどうか」などをはっきりとさせるためにも、可能な限り多くの証拠を集めておきましょう。

不当解雇の相談から解決までの進め方

不当解雇に関して相談できる窓口を確認したところで、ここからは、トラブルの解決をどのような流れで目指すのかを解説します。
具体的な流れは、以下の通りです。

【不当解雇の相談から解決までの進め方】

  1. 適切な相談窓口に相談する
  2. 会社と直接交渉する
  3. 法的な手続きへと進む

適切な相談窓口に相談する

まずは、不当解雇に関するトラブルを解決するために適した相談窓口へ問い合わせ、状況を整理しましょう。
相談先に意見を伺ったうえで、今後の対応方針を決定したら会社との交渉へ移ります。

なお、法的な手続きでトラブルの解決を目指す場合は、弁護士事務所や法テラスに相談するのがおすすめです。

会社と直接交渉する

相談後は、専門家のアドバイスを踏まえて会社と交渉します。
交渉では、解雇の撤回や未払い賃金の請求など、ご自身の希望を会社に伝えたうえで合意できるポイントを探ります。

トラブルの解決を弁護士に依頼する場合は、代理人として交渉に出席してもらうことが可能です。
会社によっては、不当解雇に関する訴えに対して顧問弁護士や顧問社労士が対応することがあるため、ご自身だけで交渉を進めるのが困難な場合もあります。
このような場合に豊富な法律知識と経験を持つ弁護士に依頼すれば、交渉をスムーズに進められます。

交渉を経て合意が得られれば、不当解雇に関するトラブルは解決となります。

法的な手続きへと進む

会社との交渉を経ても合意が得られない場合は、労働審判や裁判などの法的な手続きへ進むこととなります。

労働審判は簡易で迅速な問題解決を目指す法的手段となっており、2~3か月程度で終了するのが一般的です。
申し立てると40日以内に第1回期日が開かれ、審判官と労働審判員により、当事者と会社の双方の主張を踏まえた調停が試みられます。
成立しなかった場合は、次回へ移行して再度調停を目指しますが、第3回期日までに成立しなかった場合は裁判へ移行します。

裁判は、裁判所が双方の主張や提出した証拠に基づいて、法的に強制力のある判決を下す手続きです。
労働審判よりも審理に時間がかかるため、場合によっては判決が下されるまでに1年以上の期間を要することもあります。

不当解雇トラブルの解決方法

不当解雇のトラブルでは、最終的な解決方法として、主に「解雇を撤回してもらい職場に復帰する」「和解金や未払い賃金を受け取って退職する」の2つが考えられます。

解雇を撤回してもらい職場に復職する

ご自身の解雇が不当解雇と認められた場合、双方の合意のもと、会社にこれを撤回させて職場へ復帰することが可能です。
同時に、解雇されてから復帰するまでの賃金も請求できます。

不当解雇される前と同じ条件で働きつづけられ、安定した収入を得られるというメリットがあります。
しかし、一連の出来事を理由に働きにくいと感じてしまう方もいらっしゃるでしょう。
職場復帰を望まない場合は、和解金を受け取って退職する方法もあります。

和解金や未払い賃金を受け取り退職する

トラブルの解決後に職場へ戻るのが難しいと感じる方は、和解金や未払い賃金などを受け取って退職するのが賢明です。
このようなかたちで解決するためには、解雇に同意せず就労の意思を示すことが必要になりますが、復職後の職場環境に悩む可能性がある方にとっては現実的な選択肢といえます。

転職活動を考慮して、退職理由を会社都合にすることで合意するケースもありますが、最適な解決方法は人によって異なるものです。
退職後の動き方も踏まえてトラブルを解決したい方は、相談窓口に話してみましょう。

不当解雇に関するトラブルは弁護士事務所へ相談するのがおすすめ

不当解雇に関するトラブルでお悩みの際は、弁護士事務所や労働組合、社労士会などに相談できます。
特に、法的な手続きによる解決を見据えている方は、交渉にくわえ、労働審判や裁判にも対応できる弁護士事務所へ相談するのが賢明です。
なお、相談前は解雇に同意せず就労の意思を明示したうえで、不当解雇に関する証拠を集めておくと、解決までの流れを有利に進めやすくなります。

不当解雇でお困りの際は、労働問題の解決に強みを持つ青山東京法律事務所へご相談ください。
無料相談も実施しておりますので、トラブルの解決に向けて、まずは状況の整理から始めていきましょう。

監修者

植田統

植田 統   弁護士(第一東京弁護士会)

東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士

東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。 野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。 米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。

2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。

現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。

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