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契約書の作成は弁護士に依頼するのがおすすめ!メリットや費用は?

契約書が必要になった際、自社での作成が難しい場合は、弁護士に依頼することを検討しましょう。
とはいえ、『費用をかけてまで弁護士に依頼するメリットが分からない』と感じる方もいるかもしれません。

そこで、弁護士への依頼について悩んでいる方のため、作成を依頼するメリットや対応可能な業務範囲などについて解説します。
この記事を読むことで、かかる費用の目安や実際に作成代行を依頼する場合の流れなどもわかるようになるので、ぜひご覧ください。

契約書作成を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼する以上費用がかかるため、できれば自社で対応したいと考えている方もいるのではないでしょうか。
ですが、弁護士に契約書の作成を依頼することにより、以下のようなメリットがあります。

自社に有利な契約書を作成できる

弁護士に依頼することにより、自社に有利な契約書を作成できます

インターネット上の雛形を使えば契約書を作成できますが、多くは中立的な内容です。

契約書の作成とは、相手方との契約の条件を決めていく過程であり、そこで自社に有利な条件をどれだけ書き込めるかが勝負となります。

多くの企業の方は、この点を十分に理解しておらず、契約書の作成を必要悪のように感じています。その結果、できれば相手方に契約書を作成させようとしている節が見受けられます。

そうなると、相手方に有利な契約条件がたくさん入った契約書にサインさせられ、後で紛争が起こったときは、負けてしまうということになりがちです。

本来は、契約書の作成は、進んで自らが行い、自社に有利な契約条件を相手に押し付けたいものです。

取引関係上、相手方の契約書を押し付けられた場合は、弁護士に相談し、自社に不利な条項を指摘してもらい、相手方にその変更を要求していくことが不可欠です。

不明瞭な文言を排除できる

契約書を作成する大きな目的は、将来的に発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐことです。
しかし、弁護士を交えず、当事者間で作成した場合には、表現がわかりにくかったり、曖昧な形で取り決められている例が多々見受けられます。
一例として挙げられるのは、業務委託契約書の委託業務の定義です。当事者が作成した契約では、多くの場合、その文言が極めてあいまいで、具体的に何を依頼しているのかが明確になっていない場合が多いようです。

さらに、重要な取引条件が契約書に書かれていないこともあります。
これも、一例をあげれば、請負契約に設計図面や内訳書が添付されていない場合です。設計図面がなければ、どのような建物をどのような仕様で建設するのかがわかりませんし、内訳書がなければ、どのような資材、価格がいくらの資材をいくつ使用するのかが明確になりません。

こうした不明瞭な契約が結ばれてしまうと、後で大きなトラブルにつながる恐れがあります。

弁護士が契約書を作成する際は、必要な契約条件は必ず書き入れられ、文言のあいまいさは排除されますので、後日トラブルが起きても、その判断基準は契約書で規定されているはずです。

また、契約当事者の中には、契約条項の最後に出てくる「問題が発生した際にはそのときに誠実に協議のうえ決定する」という条項ですべてを解決できると信じている人がいます。

このような内容を契約書で定めていたとしても、実際に問題が発生した際は改めて話し合いをしなければならず、その時には、お互いに利害が対立していますので、協議の結果妥協が成立する可能性は極めて低いことを、肝に銘じておく必要があります。

弁護士による契約書作成の業務範囲

弁護士に契約書の作成を依頼する場合、どのようなことを任せられるのか解説します。
なお、どこまで対応可能かは弁護士や契約するプランによって異なるので、よく確認しておきましょう。

契約書の草案作成・文言の精査

契約書の草案の作成を依頼できます。
文言については適切なものを選んで選択しなければならないため、専門的な知識が必要です。
弁護士であれば法律に則った形で文言を精査できるので、完成度の高い契約書を作成できます。

相手方との交渉支援

作成した契約書の内容では相手方から不満が出てしまうことがあります。
こういった場合に相手方との交渉支援をお願いすることも可能です。
双方が全く譲らない状態では交渉が停滞するため、妥協点を見出して調整を行います。

契約内容の法的リスクに関する分析とアドバイス

契約書に書かれている文言の中にリスクが含まれているケースもあります。
弁護士は専門家としての目線で法的なリスクを見極めたうえで助言を提供します。

法的リスクを避けるために盛り込むべき内容なども明確になるので、後からトラブルにつながってしまうのを避けられます。

契約書のリーガルチェックと更新のフォロー

すでに利用している契約書がある場合は、法的な問題がないか、自社に不利益な契約となっていないか、リーガルチェックしてもらいましょう。

また、法律が改正された際には契約書の内容を更新しなければならないこともあります。
そのまま古い契約書を使い続けると自社にとって不利になることもあるので、更新のフォローを行うのも弁護士の重要な仕事です。

トラブル発生時のサポート

何かトラブルが発生した際は専門家としてサポートしてくれます。
場合によっては訴訟に発展することもあり、迅速に適切な形で対応が必要です。
弁護士であれば訴訟に発展した場合でもサポートを依頼できるので、心強く感じるでしょう。

契約書作成を弁護士に依頼する際の費用相場

契約書作成を弁護士に依頼する場合、どの程度の費用がかかるのか確認しておきましょう。
具体的な費用は、契約内容がシンプルか、複雑かによって変わることになります。

契約内容がシンプルな場合

契約内容がシンプルでわかりやすいものであった場合、契約書作成にかかる費用の目安は5~20万円程度です。
小規模なビジネスや個人事業主が作成する契約書、標準的な文言でほとんど終わってしまう場合に関しては、この範囲内でおさまることが多いと言えます。

契約内容が複雑な場合

作成を依頼する契約書の内容が複雑である場合、20~40万円程度の費用がかかるのが一般的です。

例えば、企業間取引では契約書に複雑な内容が盛り込まれることもあります。
海外の企業と取引する時には、英文契約書の作成が必要となります。
このような場合には、作成や調査に時間がかかることから、内容が単純な契約書と比べて費用が高くなる点に留意しておきましょう。

契約書の作成代行を弁護士に依頼する流れ

実際に契約書の作成を弁護士に依頼する前に、どのような流れで進んでいくのか確認しておくことをおすすめします。
ここでは、代表的なステップを紹介します。

ステップ①相談・ヒアリング

はじめに行うのが、契約書の作成に関する相談です。
契約書は自社で用意した雛形をもとに作成してもらうほか、ゼロから作成を依頼することも可能です。
相談する前に以下のようなポイントまとめておきましょう。

【まとめておくべきこと】

  • 取引の内容
  • 相手先との力関係
  • 相手先からの要望
  • 想定される自社にとってのリスク
  • 自社として盛り込みたい条項

上記の内容によって盛り込むべき条項が変わります。
そのため、丁寧にヒアリングをしてくれる弁護士に相談しましょう。

ステップ②見積りの提案と契約締結、スケジュールの確定

ヒアリングの内容をもとにして弁護士が見積りの提案を行います。
提案された見積りで気になることやわからないことなどがあれば、この段階で確認しておきましょう。

内容に問題がなければ契約書作成の業務委託契約を締結し、具体的なスケジュールを確定していくことになります。
契約書を使用したい日がすでに決まっている場合は、その日までに作成が完了するかも確認しておかなければなりません。
修正が必要になることも考えられるので、余裕を持ったスケジュール設定が必要です。

ステップ③契約書ドラフトの確認

弁護士が契約書のドラフト(草案・下書き)を作成するので、依頼者はそれを確認します。
自社の要望通りに作られているか、慎重に確認します。
そして、修正が必要な場合は依頼しましょう。

専門的な内容になりますが、相手方から質問されたときに備え、書かれている内容は明確に理解しておかなければなりません。
わからないことがあれば弁護士に説明を求めましょう。

ステップ④最終確認と契約書の納品

作成された契約書の最終確認を行います。
ここで問題がなければ納品されます。
どのようなデータ形式で納品してもらえるかは弁護士によって異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

契約書作成を依頼する弁護士を選ぶ際のポイント

弁護士に対して契約書の作成を依頼する場合は、信頼できる弁護士選びが欠かせません。
そのためには以下の4つのポイントに注目しましょう。

ポイント①自社の業務に対する理解度を確認する

最初に述べた通り、契約書の作成は、契約の条件交渉です。
自社に有利な契約条件を実現することが、契約書の作成なのです。

ですから、契約書を作成してもらう弁護士には、自社の業務内容をクリアに理解してもらう必要があります。
弁護士の中には、会社の実務がよく理解できない人もいるので、会社の業務内容に精通うしている弁護士を選ぶことが大切です。

ポイント②契約書作成の実績を確認する

契約書の作成を依頼しようと考えている弁護士が、過去にどの程度の実績を持っているのか確認しましょう。
自社と近い業種や取引規模での実務経験を確認しておくことが大切です。

特に専門性の高い契約書を作成する場合は、その分野に強い弁護士を選ぶことで信頼性の高い契約書を作成できます。

ポイント③サポート可能な業務範囲を押さえておく

初回相談に行った際に、どこまで法的なサポートが受けられるのか確認しておきましょう。
例えば、対応しているのは契約書の作成のみなのか、交渉先とトラブルが発生した際に交渉や内容証明の送付にも対応してくれるのかなどを確認する必要があります。

自社で希望しているサポートがある場合は、そのサポートを提供している弁護士であるか確認しておかなければなりません。

ポイント④コミュニケーションの取りやすさにも注視する

契約書を作成する際は、盛り込みたい内容や注意して欲しいポイントなどをコミュニケーションの中で伝えることになります。
そのため、意思疎通を取りやすい弁護士であるか確認しておきましょう。

メールや電話でのやり取りが迅速である弁護士、ビジネスの言葉でコミュニケーションできる弁護士を選ぶようにしましょう。

法的トラブルを避けるためにも弁護士の依頼がおすすめ

契約書の作成を弁護士に依頼するメリットとその費用、弁護士選定のポイント等を説明してきました。

青山東京法律事務所は、多くの顧問先を抱え、契約書作成の経験も豊富です。
そして、何よりも、青山東京法律事務所の弁護士は、会社の実務に対する理解が深いので、どのような規定を入れ込めば、貴社に有利になるかを考えることができます。
契約交渉で勝ちたい、自社に有利な契約書で取引を行いたいと考えている方は、是非青山東京法律事務所へご相談ください。

監修者

植田統

植田 統   弁護士(第一東京弁護士会)

東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士

東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。 野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。 米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。

2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。

現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。

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