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Ⅰ企業間取引のルール(独禁法、下請法)-親事業者→下請事業者の支払遅延についての規制
目次
1 下請法4条1項2号
親事業者が、下請事業者に対して、支払期日経過後、なお下請代金を支払わないことを禁止している。
具体的には、親事業者は物品などを受領した日(役務提供の場合は、役務が提供された日)から起算して、60日以内に定めた支払期日までに、下請代金を支払わなければならず、支払いをしない場合は下請法に違反することになる(この60日には受領日も算入)。
これを、より分かりやすく言い直せば、以下のようになる。
① 親事業者と下請事業者の間で、受領日から60日以内に下請代金の支払日が定められている場合は、その支払い日までに支払いをしなければならない。
② 受領日から60日を超えて支払日が定められている場合は、60日までに支払いをしなければならない。
③ 支払日が定められていない場合は、物品の受領日が支払日になり、受領日に支払いをしなければならない。
2 遅延利息の発生
親事業者が支払いをしない場合、支払日以降、下請事業者に対して、次のような遅延利息を支払わなければならない。
- ①③の場合
支払日以降60日までは、契約で決めた遅延利息、契約で定めがないときは法律で決められた遅延利息を支払う。60日を超えたときは、年14.6%の割合による遅延利息を支払う。 - ②の場合
60日を超えた後、年14.6%の遅延損害金を支払う。
監修者
植田 統
1981年、東京大学法学部卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。
ダートマス大学MBAコース留学後、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルティングを担当。
野村アセットマネジメントで資産運用業務を経験し、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。
レクシスネクシス・ジャパン株式会社の社長を務め、経営計画立案・実行、人材マネジメント、取引先開拓を行う。
アリックスパートナーズでライブドア、JAL等の再生案件、一部上場企業の粉飾決算事件等を担当。
2010年弁護士登録後、南青山M's法律会計事務所に参画。2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。
現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論を講義。数社の社外取締役、監査役も務める。